Episode No.043
人間、誰にも失敗はある。
ただ、失敗を許してもらえるかどうかは、普段のその人の態度による。
いつも頑張っているヤツが失敗すると「時には仕方ないさ」と慰めてやりたくもなるが、仮に同じ失敗をしても、普段からいいかげんなヤツだったりすると「ホラ見ろ!」と怒鳴りたくなってしまう。
失敗をとり戻すことは難しい。
過ぎ去った時間は、決して取り戻すことができない。
「以後、気をつけます」で通るのは、子供だったり、新人だったり、自分が保護されて立場でいるうちだけだ。
では、失敗を穴埋めするには、どうすればいいのだろう?
1949年4月25日、金沢の兼六園球場。
この日の巨人対大映戦で大波乱が巻き起こった。
巨人の先発は川崎徳次投手。この日、彼は絶不調で初回からメッタ打ちされた。8ホームラン、13失点という見るも無惨な光景。しかし、巨人ベンチは動かない。
普通なら、どう考えてもこの試合は大映の勝利に終わるところだが、結果は15対13で巨人が勝利をものにした。
巨人が得点した15点のうち、9点までは1人の選手の活躍によるものだった。
もちろん、この時代の巨人と言えば、川上哲治や青田 昇といった名選手もメンバーにいたわけだが、この日ばかりは、そんな看板パッターも陰をひそめてしまった。
5打数4安打、うち3本のホームランを打ったこの男こそ、ピッチャーの川崎徳次選手、その人だった。
13点という大量点をとられながら、その日、最後まで投げきった川崎投手は完投勝利を飾ることができた・・・という話。
どんな偉人にも失敗談はつきもの。
しかし、彼らの名を歴史のとどめたのは、失敗より大きな成功があったからに、ほかならない。 |