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Episode No.389(991124):神様のいたずら

今からちょうど140年前の今日・・・1859年11月24日、それまでの人間の常識をくつがえす本が出版された。
『種の起源』である。

著者は、もちろんチャールズ・ダーウィン。
1809年にイギリスで生まれたダーウィンは22歳の時、博物学者として世界一周の旅に出た。

5年間にわたる航海の中でも、彼が最も興味を感じたのは、ガラパゴス諸島で出会った動物たち。
一見、同じ種に見える鳥も、住む場所・・・つまりエサの取り方の違いによってクチバシの長さに差がある
コトを発見。
それがきっかけとなって、後に世界をゆるがす『種の起源』が誕生するコトになる。

実は同じ時期、ダーウィンと同じくイギリス人学者であるウォーレスもマレー諸島の調査結果から、進化論に気づいていた。
ダーウィンより14歳年下のウォーレスは、1858年、自分の論文をダーウィンに送った。
まだ進化論を発表する前だったダーウィンは、それを見てあわてて論文は、とりあえず2人の名で発表し、翌年に『種の起源』を出版した・・・というコトがあった。

結局『種の起源』のインパクトが強かったうえ、発表後は聖書の教えとどちらが正しいかという激しい論争が起こったコトもあって、世間的にはダーウィンの名が広く知られるようになる。

ウォーレス自身、進化論の功績はダーウィンのモノ・・・と先輩を立てていたせいもあるが、最終的にはダーウィンと対立するコトになる。

それは、盗作疑惑的なモノではなく・・・。
ウォーレスはその後の研究によって、進化論は正しいが"人間だけは別"という立場をとるようになったからだ。
かと言って、学者であるウォーレスが聖書の立場に立ったとは思えないが、とにかく人間については進化論だけではわりきれないモノが出てきてしまったらしい。

実は以前、人類の進化について上野博物館の学芸員に直接話を聞いたコトがある。
現代の研究者の間では、そのヘンの話がいったいどうなっているのかと言えば・・・。

猿が進化して人間になったコトには違いないが、なぜ人間になったかと言えば、まだ突然変異としか説明がつかないらしい。
つまり、どちらかと言えばダーウィンというより、ウォーレスの説に近い感じ。

我々は何故生まれてきたのか?
これは個人にとっても、人類にとっても永遠のテーマになりそうだ。


参考資料:「今日は何の日」PHP研究所=刊
     「21世紀こども人物館」小学館=刊

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