Episode No.330(990916):私の嫌いなモノ "使い捨てカメラ"が普及したせいもあって、写真は実に身近なモノになった。 現代日本のブーム発信源と言われる女子高生のカバンの中には、"携帯電話"と"使い捨てカメラ"が必ず入っている・・・とテレビで見た。 最近、"たまごっち"の話題は聞かなくなったけど・・・。 ところで同じカメラでも"ガストロカメラ"を使ったコトはあるだろうか? "ガストロノミスト(gastronomist)"と言えば英語で"美食家"・・・フランス語で言えば"グルメ(gourmet)"のこと。 "ガストロ"とは、つまり"胃"。 1955年に東京大学付属病院分院の外科研究室とオリンパス光学工業が共同開発した"胃カメラ"の製品名が"ガストロカメラ"だ。 私もかつて一度だけ"胃カメラ"を飲んだコトがある。 朝から何も食べずに病院に行って、注射を打たれ、発泡剤を飲まされる。 口にはカメラを通すための管をくわえさせられて、開いた状態であるにもかかわらず医者は平然と「ゲップはしないでださい」と言う。 ・・・ムチャな話だ。 ひたすら苦しかったコトしか覚えていない。 ジェットコースターが苦手な私だが、胃カメラはそのジェットコースターよりも嫌だ・・・と何度も思ったモノだ。 現在の胃カメラは光ファイバーを使った比較的細いモノになっているが、開発段階では、そうとう太かったらしい。 まだビデオ技術も確立されていない頃の話だから、フィルムで写すカメラのレンズを長くして、胃に突っ込む・・・という感じ。 試作品の実験台になった研究員は、胃を洗浄され、麻酔を打たれ・・・、まさに拷問台に上る心境だったコトだろう。 そこで、思いもかけない失敗があった。 せっかく死ぬ思いで胃カメラを飲んだというのに・・・なんと、フィルムを入れ忘れていたというのだ。 実験台となった研究員は、そのコトを知ってひと言「ばかやろう」と言い放って、再びベッドへ戻ったという。 私だったら絶対にフィルムを入れ忘れたヤツに代わりをやらせると思うけど。 ともかく、こういう苦労の末"ガストロカメラ"は完成した。 しかし、苦労の末"胃カメラ"を飲むようなハメには・・・なりたくないものだ。
参考資料:「20世紀の発明・発見博物館」グループ・サイエンス21=編著 ワニ文庫=刊
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