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Episode No.324(990909):・・・その次を考える

将棋の強い、弱いは、相手の出方を何手先まで読めるか・・・にかかっているという。

私自身は、将棋と言えば、ハサミ将棋くらいしか知らないんだけど。
よりよい仕事を進めるうえで、知識と経験・・・そして想像力に基づいた、こういう感覚は絶対に必要だと思う。

あまり考えすぎて、一歩も前に進めない・・・というのも困りモノだが、ちょっとは先のコトも考えておかないと目的をはたすコトはできないし、場合によっては墓穴を掘るコトにもなりかねない。

人を助けるつもりの行動が、かえって人を苦しめるコトさえある。

1700年代も終わりの頃。
アメリカ南部の大農園で家庭教師として働いていたイーライ・ホイットニーは、来る日も来る日も綿花から種子を取り除く重労働に追われている黒人奴隷たちを大変かわいそうに思った。

そこでホイットニーは、そうした手作業を軽減する種子取り機を考案。
1台で400人分の効率を上げることに成功した。

当時は奴隷制度が崩壊寸前となっている時代で、ことにたくさんの人手を必要とした農作業は、生産性が悪く廃止するところも増えていた。

そこにホイットニーの種子取り機が登場した。
そのまま廃業となれば解放されるはずだった奴隷が再び集められることになる。

ホイットニーの発明のおかげで、年間わずか6万キロだった綿花の生産量は、7年後に1,600万キロにもなったが、その陰でこれまで以上に過酷な労働を強いられた黒人奴隷は数知れない。

結果、南北戦争で64万人の戦死者を出す引き金ともなり、ホイットニーは"善意の悪党"と呼ばれた。

そのホイットニーが後に、アメリカ陸軍省からの依頼で、世界で初めて小銃の大量生産を実現した・・・というのも皮肉なハナシだ。

「これからはインターネットの時代。さぁパソコンを買いましょう」と言ってパソコンを売りまくったショップは、今、インターネットによるメーカーからの直販に頭を悩ませている。

次世代のスーパー・コンピューターは、一般的には専門家にしか扱えない高度なモノ・・・と思われがちだが、技術が洗練されればされるほど、普通の人々が理解しやすい視覚的なモノになってくる・・・というハナシもある。
つまり技術者たちは、研究を進めれば進めるほど、自分たちの居場所をなくしている・・・というワケだ。

その点、抜け目がないのは何と言っても政治家。
いかなる新しい選挙制度であろうと、法案だろうと必ず自分たちが生き残る道だけはシッカリと作っている。

憎まれっ子、世にはばかり・・・とは、まさにこのコト、だね。


参考資料:「世界史おもしろ1分間知識」毎日新聞社=編 三笠書房=刊
     「天才たちは学校がきらいだった」トマス・G・ウェスト=著 久志本克己=訳 講談社=刊

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