「ブランコすり」が急増している・・・というニュースをTVで見た。
「ブランコすり? 何だそりゃ?」と思った私の脳裏にイメージされたのは、スパイダーマンのごとく、空中ブランコで舞い降りてきて財布を盗み取るスリの姿。
・・・そんなバカなことはあり得ない。
「ブランコすり」とは、食堂や喫茶店で壁のフックや椅子にかけられている上着から財布を抜き取るスリのこと。
汗ばむ季節になると出没するスリだが、今年に入って被害が急増しているらしい。
最近は犯行も組織的になってきて、店の中はもちろん、店外にも見張り役が目を配っているという。
スリについて、ちょっと調べてみた。
犯罪には隠語がつきもの。
「ブランコすり」と同様、スリの種類にも「ハコ師」や「平場(ひらば)師」それに「抱きつきスリ」などがある。
「抱きつきスリ」は文字通り、酔った人を介抱するふりをしながら財布を抜き取るスリで、深夜の駅などに出没する。
スリ・・・と言えば「地下鉄サム」という物語もあったが、代表的なのは、やはり混雑する電車の中。
電車に出没するのか「ハコ師」だ。
残りの「平場師」というのは、デパートや繁華街などの人混みに出没するスリのことだ。
関西系のスリは、指の間にカミソリなどの刃物を隠し持って、ポケットやカバンを切り裂いて中味を盗る者が多い。
同様の手口でハサミを使う者をとくに「蟹使い」と言うらしい。
昔のドロボーは、スリにしても金庫破りにしても、犯罪者とはいえ職人的なプライドを持っていた。
スリもベテランとなると、暇さえあれば細かい砥石で指先の油落としをしていたという。
素人が短絡的な犯罪を犯すケースが多くなっている現代では、曲がり角からいきなりブスリ・・・ということもある。
スリに財布を抜き取られたというのが後でわかる程度なら、むしろ不幸中の幸いかもしれない。
とはいえ、これから夏の行楽シーズン。
人出の多いところへ行くことも多いと思うが、後味の悪いイヤな思い出にならないよう、お互い注意しましょう。