その美しい風景写真を見ると、どうしても行ってみたくなるような場所がある。
イギリス、湖水地方。
東西20km、南北30kmにわたって、大小100余りの湖が点在する・・・大自然の輝きに満ちた田園風景が広がっている。
この場所は観光地として名高い一方、ある有名人?の故郷としても知られている。
有名人の後に「?」を入れたのには理由がある。
人・・・ではない。
世界一有名なウサギ、ピーターラビットの故郷が、この湖水地方にあるソーリー村なのだ。
ピーターラビットが絵本の主人公として誕生したのは1901年。
今から100年近くも前の話。
作者の女流作家ビアトリクス・ポターはロンドンの出身だが、ロンドンのペットショップで買った小さなウサギと共に、この村に移り住んだ。
小高い丘に囲まれたソーリー村では、動物の数の方が人間よりもはるかに多い。
牧場で飼われている羊だけも人間の5倍はいる。
そのほかブタやアヒル・・・そして野生のウサギたちなど、すべての動物たちにとって、ここは楽園なのだ。
驚くべきことは、その風景が100年前からまったく変わっていない・・・ということ。
ピーターラビットの絵本に描かれた景色は、現在も完全にオーバーラップする状態を保っている。
ポターは、ソーリー村に住む動物たちを主人公にして、ピーターラビットのシリーズを生涯に23冊作り上げた。
そして、世界中で売れた本の印税をこの湖水地方の自然を守るためにつぎこんだのだ。
ポターが買い取った湖水地方の土地は、4,000エーカー。
野球場にして、1,600個分に相当する。
何かを守ろうと思ったら、まず必要なのは、それを思う純粋な気持ち。
さらに・・・気持ちだけでなく、大きな力がなければ本当に守ることはできない。