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Episode No.244(990608):レインコートが売れたワケ

北海道を除いて、今年も全国的に梅雨入りしました・・・な。

長雨の季節も自然にとってはなくてはならないモノ・・・とわかっちゃいるけど、やっぱりうっとおしい。
とはいえ、自動車通勤の私が実際にオモテを歩くのは駐車場から事務所までの、わずか数十メートル。
バス、電車を乗り継いで通う方々に比べれば、かなり恵まれた環境にはいるものの、雨の日に傘なしで過ごせるほどではない。

ところで傘の歴史は古く、その起源は遠く古代までさかのぼるという。

意外なことに最初に登場したのは「雨傘」ではなく「日傘」。
正確なことはよくわからないが、古代の「日傘」と言うとエジプトの壁画にも獣の顔をした神々の後ろから「日傘」をかざす絵柄があったように思う。

「雨傘」が人類の歴史に登場するようになるのは、それに比べるとはるかに遅く1637年頃の話。
フランス王、ルイ13世の動産目録の中に「日傘」とは別に「雨傘」という項目が記されていたのが最初の記録だと言われている。

当初、傘と言えば貴族女性の装飾として用いられる「日傘」を指すのが普通で、「雨傘」が登場するまで傘は女性専用のものだった・・・らしい。

男性も傘を使う・・・という習慣は、フランスを中心に広まった。
習慣だけでなく、傘製造の技術でもリードしていたフランスでは、1715年に世界初の「折りたたみ式傘」が誕生している。

傘と同様、雨よけのために用いられるレインコートの原型が誕生したのは「折りたたみ式傘」が発明されてから、さらに32年後の1747年。
木の樹液を古いコートに塗りつけて、防水加工をほどこしたものが始まりだが、より現代のものに近い防水生地は、1820年代に入ってイギリスで発明された。

発明者の名前は、チャールズ・マッキントッシュ。
マッキントッシュの名は当時、防水生地の代名詞とまでなったが、その成功は鉄道の発達とともに下火になったという。

なぜなら、当時の鉄道車両には天井がなく、雨が降ると乗客はマッキントッシュのレインコートを着なければ列車に乗ることはできなかった。
が、天井がある箱形列車が主流となるとれ、レインコートはいらなくなった・・・というワケ。

この当時の人たちに比べれば、冷暖房完備の電車で通う皆さんも充分恵まれている・・・と言えるのでは?!


参考資料:「雑学・世界なんでもかんでも最初のこと」P ・ロバートソン=著 大出 健=訳 講談社+α文庫=刊

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