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Episode No.225(990517):狩人、もしくは野心家の条件

ゴルゴ13は、何とも愛想のない男だ。

現在、コミックスは111巻を数えるが、彼の笑顔は第1巻で描かれたきり・・・。
それでも彼には世界中から仕事の依頼がある。
何故なら彼は、650m先にあるコインを撃ち抜くという天才的スナイパーだからだ。

1995年の話になるが、政治評論家の早坂茂三の講演会を聴いた。
テーマは「混迷する日本政治と政界再編」。
自民党とかつての社会党が連立政権をつくり、当時の社会党党首、村山富市が内閣総理大臣だった頃の話である。

早坂茂三といえば、長年、田中角栄の秘書を秘書をしていたことで知られる人物で、政治の裏事情にはきわめて詳しい。
「私が、かつて秘書時代に知ったことをね。すべてブチまけたら日本の歴史の捉え方は大きく変わるでしょ」
と本人も言っていた。

そんな彼が時期首相についての話をする中で、橋本龍太郎の名前が出た。
その話の通り、第一次橋本内閣が成立したのは、この講演会のちょうど1年後のことだった。

無論、早坂茂三ならずとも次に自民党党首が総理大臣に返り咲くことは、誰の目にも明らかな状勢ではあった・・・が、橋本龍太郎について、こんな表現がされていたのが印象に深い。

「龍ちゃんはイイ男。しかも優秀。・・・ただ、機関銃を構えているようなところがあってね」

具体的にはよくわからないが、何となくわかるような気がした。

目的はさまざまだが、人は心の中に確かに銃を持っている。
その銃をちらつかせていては、他人はなかなか近づいて来てはくれない。
ゴルゴ13のように天才的な狙撃の腕があれば別だが、飛距離のない短銃しか持っていないのなら、相手を充分に近づけてからでなければ弾は当たらない。

少々、物騒な例えかもしれないが・・・そういうものかもね。


参考資料:「混迷する日本政治と政界再編」早坂茂三=講演

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