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Episode No.219(990510):オランダがチューリップの名産地になったワケ

遅咲のチューリップが開花するのは、4月下旬から5月上旬の話だそうで・・・。
あいにく私のまわりでお目にかかれる場所はないが、ニュースの映像などに見るチューリップ畑は、確かに見事なものだ。

ところでチューリップと言えば、奥に風車小屋が建つオランダの景色が有名だが、このオランダのチューリップと日本のウサギには共通点がある。

チューリップは1630年代の話。
日本のウサギは1870年代の話だが、さらに1920年代後半の株、1980年代後半の土地・・・とつながると、それらの共通点はハッキリと見えてくる。

これらすべては、いわゆるバブル経済の引き金になったモノたちなのだ。

今からおよそ370年ほど前のオランダでは、チューリップの品種改良が進み、空前のチューリップ・ブームが起きた。
新しく、しかも美しいチューリップの球根が飛ぶように売れたために、球根の転売で"あぶく銭"を得る者が続出・・・。
しかし、ある日突然ブームは去り、手元には二束三文となった球根だけが残った。

日本で起こったウサギ・ブームも流れは同じ。
明治5年頃、東京を中心にウサギをペットとして飼うことが大流行。
明治維新で武士の身分を失った没落武士が、このブームに飛びついてウサギの売買をはじめ、高値で取引されるようになる。
中には自分の娘を売った金でウサギを買い占める者もいたらしい。
これを問題とした当時の東京府では、飼育されているウサギ一羽につき毎月1円という"ウサギ税"をかけた。
こうしてバブルはイッキに崩壊。かわりにウサギ鍋を食わせる店が激増したという。

空前のチューリップ・ブームのおかげで、オランダはチューリップの名産地として知られ、あの美しい景色を残すことになったが、1929年に株の大暴落から起きた世界大恐慌は、第二次世界大戦の引き金ともなった。

楽して稼げるはずはない。
そんな夢は、ただの幻想だということは人類の歴史が物語っているはず・・・なのにね。


参考資料:「ニュースの大疑問」池上 彰=著 講談社=刊

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