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Episode No.192(990408):葬儀屋の意地

携帯電話もすっかり当たり前になった。

この春から、ひとり暮らしをはじめて電話を持つようになった人や、社会人になって強引に電話を持たされる立場になった人も多いことだろう。

さて、電話を発明したのは、ご承知の通りグラハム・ベルである。
タッチの差でベルに特許は譲ったものの、すでにエジソンも発明していて、その後はベル式の電話より、もっと音がいい電話を開発し、ついでに「ハロー」という造語まで作ったというのは有名な話。

しかし、その当時の電話はダイレクトに相手につながるものではなく、必ず交換手を経由して相手につないでもらう方式だった。

今日は、ベルやエジソンに次いで電話の開発に貢献した男の話。

現在のように相手の電話にダイレクトにつながる電話を昔は自動電話と言った。

この自動電話が使われ始めたのは、1892年11月3日、アメリカはインディアナ州ラポートでのこと。
開発者の名をアルモン・ストロウガーと言う。

このストロウガーという男、ベルやエジソンと比べると発明の経緯が実に変わっている。
なんと本業は葬儀屋なのだ。

彼がカンザスシティで開いた葬儀屋には、仕事の依頼どころか、問い合わせ一本来なかった。
さりとて葬儀屋が営業に行くわけにもいかない。
このままでは商売にならないと考えた彼は、カンザイシティ中をくまなく調査し、なぜ自分の店に依頼が来ないのかを徹底的に調べ上げた。

落とし穴は意外なところにあった。
何と、その地域で電話交換手をしていたのが商売敵の葬儀屋の女房だったのだ。
つまり電話による葬儀の依頼は、すべて商売敵にまわされていた・・・というワケ。

この事実に怒ったストロウガーは研究に研究を重ね、ついに自動電話を発明した。

今、あなたのかけた電話が、話したい相手に直接かかるのは、葬儀屋の意地と生活をかけた戦いのお陰である。


参考資料:「なんでも第一号!」びっくりデータ情報部=編 青春出版社=刊

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