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Episode No.185(990331):嫌でも最期は死んじゃうんだから・・・!

「エエかっこしいだったからね・・・。もっと無様でいいんですよ。人間というのはね。こんな時代に普通に生きていくことだけで本当に大変なんだから・・・。ばかやろうですね」

3月27日に自殺した俳優、沖田浩之の弔問に訪れた武田鉄矢の言葉だ。
人気学園ドラマ"三年B組 金八先生"では、教師と生徒という間柄。
この夜の武田のインタビューは、まさしく金八先生を見ているようだった。

沖田の自殺に遺書は見つかっていない。
俳優としての将来に不安があったとか、親族の借金に悩んでいたとか、いろいろと言われているが、所詮、自殺の真相など、死んだ本人しかわかるものではない。
いろいろな理由づけをするのは、生きている人間が納得するためだけのもの。
むしろ本人にさえ、もうろうとしてわからないものなんじゃないだろうか・・・。

人間はおろか、すべての生物にとって生きることこそが仕事。
生きていても仕方がない・・・と言うくらいなら、意味のある生き方をすればいい。
どうしたら意味のある生き方ができるのかわからなければ、発展途上国にでも行って井戸掘りでもすればいい。

五体満足でいて何が不自由なものか・・・!
死ぬ気になれば何でもできる・・・と、よく言うが、実際は死ぬ気で頑張れない意気地なしが死を選ぶ。
それこそが、最も無様な行為に違いない。

「おばちゃん、あなた想像がまずしいねぇ。テメエが芋食ってるからって、よその家までみんな芋ばかり食っていると思うのは間違いですよ」

と、いうのは映画"男はつらいよ"の中で寅さんが、おばちゃんにかけた言葉。
自分勝手に死を選んだりする人は、これとまったく逆で、自分だけが芋を食えないと思ってる。
しかし、想像力が貧しいことにおいては同じだ。

幼い2人の娘を残して自殺した沖田に、残された者たちの悲しみについては何ひとつ想像できなかったろう。

同じく"男はつらいよ"の中から、笠 智衆演ずる御前様の名ゼリフ。

「心配事は一つくらいあった方が長生きすると言います」


参考資料:「寅さんの人生語録」山田洋次/朝間義隆=作 寅さん倶楽部=編 PHP研究所=刊 ほか

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