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Episode No.180(990325):親の幸せ、子の幸せ

子供が親の言うことを聞かないと、親は怒る。
私も親だから、そういう時は間々ある。

私の場合、まだ子供が小さいので、とにかく怪我があっちゃいけないと思って怒ることが多い。
これが子供が大きくなってくると進路の問題やら何やら・・・世代の違いや考え方の相違でということになってくるのだろう。

例えば、子供が会社に就職しないでフリーの仕事をしたいとか、とてもなれそうにないモノになりたいなんて言い出したら猛反対するのが普通かもしれない。
そう言う親を含めて、誰しも必ず一度はみる夢だろうけど。

将来、子供が経済面で困らないよう、親はそれまでの自分の知識と経験に基づいて、より良い方向へ子供を導こうとする。

しかし、終身雇用が崩れつつあるこの時代。たとえ公務員でさえ、安泰とは言えない。

1916年、秋田に生まれた乃位野衣(のぞき・やえ)は、女学校を卒業すると、父親の猛反対を押し切り、こともあろうに両親が自分が結婚する時のためにと貯めておいてくれた金を使って航空学校に入学した。

はれて日本初の女性パイロットとなった彼女が、何よりも嬉しかったのは、地元、鶴岡市の上空を飛行した時に、あれほど反対していた父親が力いっぱい、何度も何度も手を振ってくれたことだという。

彼女の半生は、浅茅陽子主演でテレビドラマ化されている。
1976年に放映された、NHK連続テレビ小説「雲のじゅうたん」がそうだ。

幸せな生活とは、決して楽な生活のことではない。
苦労して苦労して、その苦労が報われることこそが本当の幸せなはず。
その苦労も自分で本当に望んだことなら辛いことではないだろう。

だから、子供が将来、楽をできるような導こうとするのは何とも筋違いの話。
意地の悪い考え方をすれば、それは子供の幸せを望んでいるのではなく、安心して死ねるよう、いわば自分の幸せを望んでいるのだと言えなくもない。

少なくとも今の時点で私は強くそう思っている。
だから、自分の子供には決して「こういう職につけ」などと言うつもりはない。

最も私がそんなことを言ったところで、子供に「じゃあ、お父さんは何なんだ?」と言われたら返す言葉はないけどね。


参考資料:「学習まんが人物館」小学館=刊 ほか

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