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人から命令されることを拒むアイリッシュの血は父から。
意味のない軽薄な状況にいることには我慢がならないロシア系ユダヤの血は、母から譲り受けたもの。

そんな彼が、本当に夢中になれるものをも見つけた瞬間、
それまで自分をとり囲み、束縛してきたものを一切無視するようになるのは、当然のことだったのかもしれない。

結果は落第。大学からは追放されることになってしまった。

それでも彼は、大いなる夢と人生最良のパートナーとなるはずだった女性を乗せて、おんぼろワーゲンで旅だった。
目指すはカリフォルニア。21歳の時のことである。

彼が熱中したのは演劇。
「あなた、ハンサムだから俳優になったら?」
という同級生だった妻の言葉に"何か"を探していた彼の直感が反応した。

後に彼は語る。
「観客を目の前にして、僕はステージに立った。僕のそれまでの人生で、あの時ほどゾクッとした瞬間はなかったよ」
こうして彼は本格的に俳優の道を進むことになった。

結局、同級生だった妻とは彼が望む"永久不変の結びつき"にはなれなかったが、数々の試練を乗り越えて俳優としては大成功を納めることはできた。

しかし、彼は決して自分を変えようとはしない。
「映画館に足を運ぶくらいだったら、良い本を読んだり、美術館に足を運ぶ方がましだよ。これは子供の頃からの習慣なんだ」

自他共に認める"職人的俳優"ハリソン・フォード。

ちなみに彼の現夫人、メリッサ・マシスンは、スピルバーグ監督の『ET』を手がけた脚本家である。


参考文献:「ハリソン・フォード」ミンティー・クリンチ=著 水野みさを=訳 近代映画社=刊

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