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Episode No.117(990111):悩まない方法

・・・いいか、あの上から見下ろすと、俺がカラスぐらいに見えるだろう? つまり、ものが大きくも小さくも見えるのは位置のせいだ。

シェイクスピアの戯曲に登場するセリフだ。
目に見える物の大きさも、直接、目に見えない問題も見方によって、だいぶ意味合いがかわってくる。

ひょっとすると、これも何かの受け売りかもしれないが、ウチのオヤジが言うには、

近くで見れば赤い布も、少し離れて見ると日の丸だったりすることがある。

確かに、そうだ。
よく会社の会議などで議論されることにA案をとるかB案をとるか・・・と、いうようなことがあるが、はたしてA案とB案が本当に必要なことなのかを論ずることは少ない。
なんとなく、みんなで寄ってたかって枝葉の部分をどーする、こーすると言っているだけで、半ば意識的に根本について論ずることを避けているというきらいもある。

根本について論ずれば責任が生ずる。
A案でもB案でもないとすれば、C案を持っていなければ責任ある発言はできない。
だから「本当はAでもBでもいいや」と思っていても、みんなが話していることにまぎれているのが一番楽で安全・・・というわけだ。

自分自身が抱えている問題にしても、そう。
何かに悩んでいる時には、どっちにしようか・・・と懸命に考える。
考えることは決して悪いことではないとは思うが、悩むことは決して目的ではなく、結論を出すことが目的なはずだ。それが、あんまり悩み過ぎると言わば悩むこと自体に酔ってきて、時間をかければかけるほど「自分はこんなに真剣に悩んでいるんだ」とヘンに安心してきたりする。

悩むとは、言い換えれば、つたない知識と経験の中で結論を出そうともがいている状況にほかならない。
同じ知識と経験しか持ち合わせていなければ、いくら時間をかけたって、いい結論が出るはずもない。

だから、悩みに落ち込んだ時には、まず悩むのをやめて、新しい知識や経験を蓄えるに限る。
新しい知識や経験がそなわると、抱えていた問題を違う観点から見ることができる。
すると「何だ、こんなことに悩んでいたのか・・・」ということになる。

「そんなに簡単なモンじゃない」・・・とお思いのあなた。
悩みを簡単に解決するには、どうしたらいいかなんてコトに悩んでいる時間があったら、何でもいいから今までと違うことに挑戦してみては?


参考資料:「シェイクスピア名言集」小田島雄志=著 岩波ジュニア新書=刊 ほか

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