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Episode No.108(981231):煩悩の果て

今年もいよいよ今日で終わり。

一年のうちでも大晦日だけは子供も午前0時を過ぎるまで起きていても叱られない。
最も普段、早寝早起きの規則正しい生活をしていれば、いくら目をこすっても深夜まで、とても起きていられないだろうが。

確かに子供の頃は夜更かししていると「寝ないと明日が来ないぞ!」なんてよく怒られたものだ。
しかし、大人になると「寝なくても、とりあえず明日は来る」ことを知る。
仕事が忙しくて徹夜状態にでもなると「あ〜、明日になってしまった!! 早くしないと夜が明ける」とあわてるほどだ。

ところで、大晦日に夜更かしをするという習慣は、もともと中国から伝わったものらしい。

その昔、中国では大晦日から元旦の朝まで起きていて初日の出を見るという習わしがあった。
それが日本に伝わって、大晦日は近くの神社やお寺にこもって新年を迎えるというふうに変化し、現在は、大晦日を自宅で過ごし、初詣に出かけるというカタチになったらしい。

そんな習慣から、かつて地方によっては「大晦日に寝ると白髪になる」とか「シワが増える」という言い伝えもあったようだが、ちゃんと眠らない方が、白髪やシワは増えるような気がする。

まして、ようやく今年の仕事を終えた後なら、なおのことグッスリ眠りたい。
だけど、まだ出来てないんだよなぁ、年賀状。

今夜は除夜の鐘が鳴り響いて、108つの煩悩が打ち払われる。

煩悩を辞書で引くと"心身にまといつき心をかき乱す、一切の妄念・欲望"と出ていた。
この言葉の意味だけとらえれば、いかなる発明発見も芸術も煩悩なしには生まれてこなかっただろうと思う。むろん仏教的には、もっと深い意味もあるのだろうが・・・。

来年の正月は不況のあおりで神だのみする人が増えて、有名な神社には例年以上の人出が予想されるというが、これこそ煩悩の極みという気もしない。大晦日に煩悩を打ち払ったばかりの、その足で・・・。

と、言いつつ今年最後。偶然にも108つ目の煩悩的エピソードを終えよう。

皆さん、よいお年を・・・!!


参考資料:「なぜ? がわかる博学BOOK」素朴な疑問探求会=編 KAWADE夢文庫=刊 ほか

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