機声…とは本来
布を織る機(はた)の音
…を指すらしいが

ここでは
肉声に対して
機械が発する声を
機声と呼んでみたい

声を発するものには
生命を感じてしまう

亡くなった知人を
思い出す時には
たいていその人が
元気に話していた頃の
声を思い出している

昔の写真を見て
感じているのも
実はその場の音だ

雰囲気をもっとも
伝えるのは
映像よりむしろ
音声かもしれない
…と思うことさえある

これはひょっとすると
生を受けた時
最初に感じるのが
母親の腹の中で聞く
心臓の鼓動だからかもしれない

そうした
普段は意識しないことを
意識して再現すると
物事はリアルに感ぜられる

ＡＩ音声合成によって
ナレーションを作成していて
たまたま
プロの声優さんが
差し替えてくれることになり
最初にＡＩで作ったものを
コンテのように聞かせたら…
うまくできなかったことがある

息継ぎの間がなかったのだ

ＡＩなら息継ぎ無しで
話し続けることはできるが
人間はそうはいかない
しかしそこに
人間らしいリズムがある

最近はＡＩに
歌を歌わせたりしているが
その進化には目を見張る

イントネーションや
音質の向上はもとより…
よく聞くと
歌い出しでちゃんと
息を吸っている音がする

自然から学んだことで
芸術が生まれるように

ＡＩを育てるにも
根本には生身の人間を
よくよく観察する必要がある

そういう意識があるかないかで
作品の深みが大きく変わるのは
何を道具に使おうが一緒だろう

だから…人生日々更新