我々は
時代…とか
環境…とか
世間…とか呼ばれる
壁の内側に住んでいて
守られたり…
傷ついたり…しながら
暮らしている
近づいて見ると
その壁は
いつもうねっていて
一定の形はしていない
ただブ厚くて
容易に通り抜けることは
できそうにない
それでも
何かの拍子に
壁のうねりが激しくなると
密度が薄くなった部分に
小さな穴が開いて
光が漏れて来る
いわゆる光明というやつだ
その小さな光に
いち早く気づいて
そこを目指した者は
誰よりも早く
次の世界を見ることができる
小さかった穴は
やがて広がっていき
誰もが気づくものとなるが
それはすでに
誰かがその穴に飛び込み
穴を広げたからである
もちろん
穴が広がらない場合もある
最初に飛び込んだ人が
弾かれて
また元の場所に落ちていた時だ
運良く
穴を広げることができ
そこに後進の者たちが
さらに穴を大きくしていくと
もはや壁は
消失したように思える
だが
実は気にならなくなっただけで
静かに閉じていっている
自分はまだ
穴に飛び込んでもいないのに
飛び込んだ連中から得た
情報だけ知って
自分も飛び込んだつもりでいると
気づいた時には
穴が塞がってしまい
自分も忘れられた存在になる
さて…
壁を越えた先にある
光の中を進んでいった者たちは
その明るさに
すっかり慣れてしまい
光を感じなくなっていく
そして
光を感じないのは
進んだその先にある
新しい壁のせいだと気づき
次の光が差してくるのを
今か今かと待ち続ける
だから…人生日々更新