その昔…
まだ木々たちが
自由に歩き回っていた頃の話

木々たちはやがて
自分達の大きさを競い始めた

より大きく見せようと
高い山に登るようになったが
それを見た神様は戒めのために
木々たちが
呼吸もできないような
もっと高い山を作った

それでも木々たちは
競うことをやめなかった

山は山
山と高さを争う意味はない
…と勝手な解釈をして
自分たちが
征服できる高さの山に登っては
あいかわらず
木々同士で高さを競った

頂上でひしめき合った
木々立ちの中には
ぶつかり合って
倒れてしまうものまでいた

倒れた木は
またほかの木々をなぎ倒した

呆れた神様はとうとう
木々たちをその場所から
一歩も動くことができないよう
魔法をかけた

動けなくなった木々たちは
もうその場で生きていくしかない

やたらと枝を伸ばして
隣の木にぶつかってしまうと
また神様に叱られる

隣の木が枝や葉を伸ばしていない
空が見える方向にだけ
自分の枝や葉を伸ばすことにした

こうして…世界中に森ができた
人間が生まれる…ずっと前の話

近所の森を歩きながら…
いつもこんな空想を楽しんでいる

だから…人生日々更新