Episode No.7219(20210929)：[偉人]Great man
特撮王チャップリン

DVDを買ったものの
まだ観てない映画はたくさんあるし
今や観ようと思えば
ネットを介して新作だって
いくらでも観ることができるというのに

疲れた時の気分転換となると
結局…何度も観た映画を観てしまう

新作と相対するのは
結構エネルギーを使う

チャップリンは何度観ても和む
そして
何度観ても…発見がある

チャップリンといえば世界的な喜劇王で
パントマイムの達人であることはもちろんだが

映画の黎明期にあって
映画の文法を作り上げた芸術家であり
キャメラに演技をさせた技術者でもあると思う

「黄金狂時代」でミニチュアを使った
落下する山小屋から飛び降りるシーンは
「インディージョーンズ」さながらの
スペクタクルだし…

酔っ払いに変わって
運転席にすべり込むシーンや…
造船途中の船を海に沈めてしまうシーンの合成

そのほかにも数々の工夫で
映画ならではの魅力を表現している

「モダンタイムス」で有名な
歯車に巻き込まれた後
フィルムを逆回転させて戻った来たり

細かいところでは…
まだ写りの良くない
撮影装置への工夫として

ドーランだらけの顔を洗うシーンでは
水を浴びるカットと
メイクをし直して顔を拭くカットを
うまいこと繋いでいる

デジタライズされたクリアな画面を観て
ようやく気づいたのは…

目隠しのまま
工事中の吹き抜けスレスレに
ローラースケートをするシーン

ハラハラドキドキさせたこのシーンの
吹き抜けの階下は…すべて絵

キャメラの角度から見ると本物に見える
だまし絵がはめ込まれていた

それにも増して…

そうしたアラ探しをさせる間もない
素晴らしい動きと
普遍的な笑いのツボを押さえた抜群のセンス

そう考えると最近の映画は
まるで特撮が主役になってしまって
特撮の凄さを越える
役者が少ないようにも感じてしまう

いいカメラさえあれば素人でも
そこそこの写真は撮れるが…
一流に学ばないと
コンビニの味で
満足するしかなくなってしまう

だから…人生日々更新