Episode No.6842(20200716)：[挑戦]Challenge
助蔵物語・制作ノート〈５８〉
助蔵のシンボル

「助蔵物語」のデザインシンボルとして
やたらと出てくるコイン

これはメキシコ銀貨で
幕末の頃
貿易銀として流通していたもの

いろいろと事情があって…
ハリスがそこに
「改三分定」と刻印させて
銀三分と同じ価値のものとして
日本国内でも流通させようとした

半年間くらい作られたらしいが
結局定着しないまま…
やがて明治政府が
新しい硬貨をつくったこともあり
歴史に埋もれてしまった

助蔵はその硬貨を
ハリス本人から貰い受けていて
御子孫のお宅で
その実物を手にしたことがある

最初は何だかわからなかったけど
前述したような事情がわかってくると
…身震いするのを感じた

お吉研究家として知られる村松春水が
昭和のはじめに書いた本の口絵にも
その写真が掲載されていた

これは助蔵の宝物だったに違いない

そんなわけでこのコインは
漫画の冒頭にも登場させたし
御子孫の家で現物を撮影させてもらった
写真を本のあちこちに
シンボルとして使わせてもらった

同時期に作られた本物が欲しくなって
探してみたけど…
とても手が届く金額じゃない

そこで刻印のない
安価なメキシコ銀を買って
「改三分定」というシールを作って貼り
レプリカを作ったりもした

コインが登場するプロローグは
そのコインの重みを感じながら書いた

だから、人生日々更新