Episode No.6833(20200706):[挑戦]Challenge
助蔵物語・制作ノート〈49〉
史実の穴埋め
今回の「助蔵物語」も
これまで歴史物語として書いてきた
「まんが安直楼始末記」や
「横濱居留地17番地」も…
可能な限り
史実に忠実であることを心がけた
とはいえ…
必ずしも確固たる裏付けが残る
エピソードだけ描く
…というわけいもいかない
これが学術論文であれば
裏付けがとれているところだけ
書けばいいのだが…
伝えやすい物語という形式を
とっていくとなると
…そうはいかなくなる
例えば主人公が
たった独りで思ったこと
…などは
よほど日記でも残されていない限り
史実に即して描くことはできない
それはあの絶対的に史実を重んじる
歴史小説家の吉村昭であってもそうだ
…と講演で話している
ではそうした
史実の穴を埋めるには
どうすればいいのか…?
できる限り集めた史料を
頭に叩き込んで
描こうとするシーンの場所へ
何度も足を運んで
…感じるより方法はない
ここで机にしがみついて
考え込んでしまうと…
その苦しさから
逃れようとするあまり
…あるいは
自分が描きたい結論から逆算した
…嘘が生まれてしまう
必要なことは
つたない考えを巡らせること
…ではなく
その人物と一体となって
…感じること
それしかないんだ
自分のような不慣れな者だと
そこまでいくのに
相当な時間を要してしまう
けれど諦めずにやっていくと
自分が作り出した結末
…ではなく
歴史にしか生み出すことのできない
完璧な結末
…に導いてもらえる
だから、人生日々更新