Episode No.6800(20200528):[挑戦]Challenge
助蔵物語・制作ノート〈16〉
失われた景色の再現
今はもう
見ることのできない景色を再現できる
…というのも漫画の良さだと思う
もっと文才があれば
文章だけで表現できるもしれないが
自分にはとても無理だし
写真にすら残されていない景色を
ストレートに伝えるためには
文字より絵で説明した方が早い
伊豆急下田駅から
稲生沢川をのぼっていくと
高馬(たこうま)という場所がある
そこに溺死したお吉が
流れ着いたといわれている傾城塚がある
一般的には
今は「お吉が淵」と言われている
門栗が淵がお吉終焉の地として有名だが
それは観光用に作られたもの
これまで調べ上げた結果…
門栗が淵はお吉が
最後に目撃された場所に過ぎない
自殺か事故か…はさておき
かつて…
よく川が決壊したという
さらに上流の満昌が淵付近から流され
川が曲がりくねった
傾城塚付近にあった船着き場に流れ着く
…というのは
よくあるパターンだったようで
そのため
満昌が淵にも傾城塚にも
鎮魂のための地蔵や
無縁仏が今も連なっている
現在の高馬は
傾城塚と稲生沢川の間に
アスファルトの道路が走っているが
これは大正末期から昭和初期に
バスが走るようになってから整備されたもの
むろんお吉が亡くなり
助蔵が近所に住んでいた明治中期にはない
その土手の様子を
漫画で再現することを試みた
今ある景色なら
写真を撮って漫画家さんに
送ればいいのだが…
今は見ることのできない
光景については現状の写真に加えて
パソコンを使って
簡単な合成写真を作ってみたり
つたないスケッチを描いたりもした
自分が感じている景色を
読者に伝えるためには
…まず漫画家さんに
キチンと伝えることができないとね
だから、人生日々更新