Episode No.6793(20200520):[挑戦]Challenge
助蔵物語・制作ノート〈9〉
小道具が描くもの
時代劇ではよく
提灯にロウソクを灯した町人が
夜道を歩くシーンが登場する
嘘は書かない歴史作家、
吉村昭に言わせると…
そんなことはあり得ない
…という
なぜなら
当時ロウソクは高価なもので
町人風情がおいそれと
使えるものではなかった
…から
今当たり前に使っている道具も
昔はなかった
ではいったいどのような工夫をして
暮らしていたのか…
当時の生活を描くためには
そうしたことを
できるだけ知らなければならない
習慣が思考や行動を
変えてしまうこともあるからね
国の要人が住居する
アメリカ公使館であれば
ロウソクを使っていても
吉村昭に叱られることはないだろう
では室内はいいとして…
広い廊下などではどうなっていたのか?
「助蔵物語」には
麻布善福寺の公使館で
廊下に設置されたロウソクを
助蔵と瀧蔵が交換しに歩く場面がある
鴨居のようなところに
ロウソクを設置する
専用の台が取り付けられている
この台のカタチを知るために
ネットを検索しまくったが
いい角度の写真がなく…
とうとう古道具屋で購入するに至った
結果的に絵の扱いは小さかったが
実際に購入してみたおかげで
ロウソクをつかむための
ピンセットのような道具があることを
知ることができた
そういうわけで…
どうということのない
この2コマを描くために
結構な経費がかかってしまったが
当時の写真から
瀧蔵は助蔵より背が高かったことは
わかっていたので
設置されたロウソクを取る役の瀧蔵と
火を付ける役の助蔵…という
二人の役割分担を
描くことはできたように思う
だから、人生日々更新