Episode No.6272(20180920)：[偉人]Great man

喜劇王の妻たち
Chaplin's wives

昨日、チャップリンが死んだ時の話をしたので、
今日もその続きを少し…。

チャップリンは88年の生涯で、
４人の妻と11人の子供持った。

歴史上の人物にして、
最後の子供が自分と同じ
1962年生まれだというから驚き。

ちなみに三島由紀夫の長男も生まれは1962年だ。

有名なチャップリンの伝記は、
最後の妻ウーナへの感謝で締めくくられている。

それまでの妻たちと
ウーナとの最大の違いは…
芸術家チャップリンに対する理解だ
…と、かの淀川さんは言っている。

それまでの妻たちは、
みなチャップリンが発掘した女優で、
映画界に力をもったチャップリンを愛した。

ただその愛は…
自分に何をしてくれるかで測られた。

もちろん、当初は
チャップリンが喜ぶようなことも
妻たちは、たくさんしていたに違いない。

しかし、次第に
チャップリンの心が離れたのは、
チャップリンが望むことではなく、
自分がしてほしいことや、してあげたいことを
押しつけられたから…だろう。

最後の妻ウーナは劇作家の娘だった。

女優志願ではあったが、
チャップリンと結婚することになり
女優業はアッサリ辞めてしまった。

ウーナの父、ユージン・オニールは
ノーベル賞作家で、なんとチャップリンと同じ年。

娘の結婚に大反対だったオニールは
生涯、チャップリンと顔を合わせなかったという。

チャップリンは作品にかかると
スタジオに籠もり、
自宅に何日も帰らないことがよくあった。

それまでの妻はストレスを感じ、
中には子供を連れて
スタジオまで
チャップリンに抗議に行く者までいた。

だが、同じようなことが起きても
最後の妻ウーナは平気だった。

劇作家の父を持つウーナは
芸術家が
そういうものであることを知っていたし、
その程度のことにはストレスを感じなかったのだ。

つまり、
チャップリンが何かに熱中している時には、
何もしないということができる妻だった。

こうして夫婦仲の良さは
チャップリンが安らかな死を迎えるまで続いた。

夫婦仲はだけでなく、
人間関係というものは
距離感には注意を払わなければならない。

近づき過ぎればぶつかってしまう。

淀川さんは…
私はかつて嫌いな人に会ったことがない
…と言っていたが、
それは嫌いな人には
近づかないようにしていたからではないか。

こと、身内については、
他人との間と違って、そもそも近いわけだから、
少し離れて見るくらいでないと、
…いさかいのもとだ、な。