Episode No.6257(20180903):[生活]Life
アイデアと表現
Idea and expression
話題の映画に盗作疑惑が持ち上がっている。
映画も、
その基になったという舞台も観ていないので、
その真偽について口を挟むつもりはない。
ただ、今回の問題について、
さまざまな専門家が書いていることを読んで、
今さらながら知ったことがある。
それは…
アイデアやコンセプトは
著作権保護の範疇には入らない
…ということ。
それでは著作権とは、
いったい何を保護してるのかといえば、
表現であり、アイデアではない。
意外なようだが、
著作物の定義は、あくまで…
思想又は感情を創作的に表現したもの
…と明記されていて、
例えば、
タイムスリップするというアイデアが
著作権で守られていたとしたら、
これほど多くのタイムスリップを題材にした
SF物語は登場して来なかっただろう。
アイデアを守るのは
特許権や実用新案、意匠などの権利であり、
それは作品の完成と同時に
自然発生的に生じる著作権とは異なり、
申請し、審査、告知された上で、
はじめて認められる権利である。
個人情報保護法と
プライバシー保護の権利もよく混同されるが、
個人情報保護法は、
個人情報を一定以上有する企業が、
その個人情報を活用するためのルールであり、
個人情報を使用してはならない
…という取り決めではない。
それでは、いったい
著作権で守られるという表現とは何か?
細かく言えば、いろいろあるだろうが…
極めて言えば、
表現を駆使して形づくられた
作品そのものではないだろうか。
つまり…
いくらいいアイデアがあっても、
作品として作り上げられていないものに
著作権は一切発生しない。
どんな商売でも同じだろうが…
たとえ特許権を得ていたとしても、
それが商品に活かされ、
その商品が売れなければ一銭にもならない。
アイデアだけで稼げるほど、世の中は甘くない。