Episode No.6217(20180718):[生活]Life
六感を刺激する旅
A journey that human beings desire
この間の話を整理し直してみる。
視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚…
五感が伝えてくれるのは、
肉体を刺激する感覚である。
そして、人は、
食欲や性欲など
肉体を満足さる欲をまず追ってしまう。
肉体を満足させることは、
命をつなぎとめ、
種の保存をはかる本能であるから、
必要不可欠なことであり、
至極、当然のことである。
必要不可欠なこと、は
また代替が利くこと、でもある。
腹が減ったり、眠かったり、
トイレに行きたかったり
…するのは、待ったなしの欲である故、
代替を利かせてでも行使しなければ、
肉体が滅んでしまいかねないから。
極上のステーキでなくても、
コンビニのおにぎりで空腹は満たされるし、
高級ホテルのフカフカのベッドではなく、
木陰でも眠ることはできる。
トイレがなければ立ちションするしかない。
五感を刺激することで人を呼べるのは、
それが身近にあるものでなければ間に合わない。
では、人が旅をするのは何故か…?
非日常に身を置くことによって、
もっと言えば、
五感に振り回されることによって失い欠けた、
六感を取り戻す…、
あるいは掴もうとするからではないのか。
多くの作家が旅先で
作品のヒントを得ていることからも、
そのことは明らかだ。
親しい者同士での旅行は、
共通の思い出づくりという目的であるが、
それも六感を共有することによって
思い出深いものになる。
渡り鳥の旅は、
種の保存のための旅であるが、
居場所を得ている
人間の旅はそうではないはず。
六感を刺激する旅こそ、
人を惹きつける旅に違いない。