でじたけの「人生日々更新」熱海国際映画祭 鑑賞記

Episode No.6208(20180707)[日記]Diary

熱海国際映画祭 鑑賞記
The Mt.Fuji-Atami Film and VR Festival “MFAFF”2018

先週末「熱海国際映画祭」を覗いてきた。

自宅がある横浜と伊豆の間を、
わりと頻繁に行き来しているので、
乗換する熱海駅も当然よく通る。

聞けば、映画祭は第1回のようで、
今は映画館もないようだし、
いったいどこで映画を上映するのだろう
…と不思議に思った。

案内によると上映会場は…
数カ所のホテルに商工会議所、
そして熱海芸妓見番歌舞練場に、なんと起雲閣…!

時間の都合上、
終日ハシゴをするわけにもいかなかったが、
せっかく熱海で観るのなら、と
起雲閣と芸妓見番歌舞練場に足を運んだ。

国際映画祭の名通り、
世界各国からさまざまな映画が集まってきていた。
2時間くらいある普通の長編から、
3分ほどの短編まで、ジャンルも多様だ。

全部で1,500本ほどの上映があったらしいが、
その1本たりとも、予告編すら観ていない。

何の予備知識も持たずに観る。
喜劇か悲劇かなのかさえわからない。
その偶然の出会いが映画祭の面白いところである。

2本の長編と数本の短編を観た。

最初に観た長編はスイス映画だった。
スイスの現代劇を観る機会など、まずない。

タイトルは「SWEET GIRLS(Jean Paul監督)」
予告編 https://vimeo.com/96885614

十代の2人の少女が主人公。
日本にもあるような何百世帯とある
巨大なアパートに彼女たちは住んでいる。

アパートの大半は老人世帯。
日本の事情と変わらない。

年寄りのために生活が困窮する若者たちは、
ある企みを思いつく。

アパートの年寄りをみんな、
地下シェルターに閉じ込めてしまおうというのだ。

現代社会に対する痛烈に皮肉を
ポップに、時にコミカルに描いた秀作だと思った。

まるでコッポラの映画を観ているような
流ちょうなカットの変わり目は観ていて気持ちがいい。
こういう流れは、
よほどの計算の上で撮影しないと実現できないだろう。

もう1本観た長編はアメリカ映画で、
タイトルは「Bernard & Huey(Dan Mirvish監督)」
予告編 https://www.youtube.com/watch?v=OkWpURak2N0

こちらはシナリオもベテランなら
俳優もベテラン勢ばかりだということは、
上映後、スクリーンの前に立った、
この映画のプロデューサーの説明で知った。

ただ、いずれの映画も
日本で有名な俳優は出演していない。
そこがまたいい。

まったく先入観がないので、
登場しただけでは、
いい者なのか悪者なのか一切わからない。
純粋にフィルムそのものを楽しめるから。

フィルム…と書いたが、
フィルム上映されているものはない。

透過式のスクリーンに
背面からプロジェクターで映し出されている、
おそらくはブルーレイディスクだろう。

普段は熱海芸者たちが踊りを披露する
奥行きのある舞台だから可能な投影法だ。

ただ、細かい話をすれば
透過スクリーンの下に暗幕が張られていないので、
スクリーンの下から
プロジェクターの光が直接目に飛び込んできて、
ややうっとおしかった。
設営時には、実際に客席に座って各所を確認しないと。

客席はスクリーンに近いところは座敷で、
後ろの壁ぎわに折り畳み椅子が置いてあった。

ほとんどの客は、その椅子に腰掛けていたが、
映画は中心で、
やや前に近いところに観たい自分は畳に腰を下ろした。
それ故、ますます
プロジェクターの光が気になったというわけだ。

場の雰囲気も、映画も、
それから何より音響は映画館さながらでよかったが、
やはり2時間近く座敷で映画を観るのは腰にくる。
せめて座椅子がほしいところだ。

映画を観る…という時は、
よほどの話題作か、
自分のお気に入りの俳優が出演している作品に限る
…というのが一般的な映画の見方だろう。

自分はもともと映画好きで、
学生時代には8ミリを回していたこともあるので、
機会があれば何でも観たい方だが…
今回、寝不足を押して熱海に行った動機のひとつには、
起雲閣や芸妓見番歌舞練場という
歴史のある建物で映画が楽しめるということにあったと思う。

そこに行かないと味わえないものがない限り、
…客は足を運ぼうとはしない。

後日の新聞によると、
準備不足、PR不足のため、
来場者数は期待していた1万人の半分ほどだったらしいが、
そもそも上映される映画はマニアックなんだから、
もっとこじんまりと開催してもいいんじゃないかなぁ…。

熱海でカンヌ映画祭を観たいとは思わない。

いっそ、
熱海の夜、映画祭とか…
少し怪しいくらいの方がそそるし、話題になるのでは?

いずれにしても、また開催されることがあれば、
今度は、もっと時間をたっぷりとって参加したいと思った。

出会いは刺激的、そして楽しい…!

だから、人生日々更新。

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