でじたけの「人生日々更新」小説とシナリオ

Episode No.6052(20180106)[日記]Diary

小説とシナリオ
Difference of content to write

話題の小説家カズオ・イシグロさんが
学生たちを前に講演している番組を観た。

文学にさしたる興味はないが、
文学者には興味がある。

何かが作られていく、
そのメイキングを垣間見るのが好きなのだ。

イシグロさんのことは
ノーベル文学賞をとったという
ニュースで初めて知ったくらいなので、
テレビのシナリオを書いていたという話も、
もちろん初めて聞いた。

シナリオと小説の違いについて、
少しだけ触れているところがあって、
とても興味深かった。

曰く…小説は曖昧でいい。

少々、極端な解釈かもしれないが、
人の記憶というものは元来曖昧であるし、
必ずしも時間軸にそったものではない。

それをそのまま表現できるのが、
小説のいいところだ…という。

映像や漫画を作り上げることを目的とした
シナリオにそうした曖昧さは許されない。

小説で食事のシーンを書く場合、
よほど料理の内容が話に関係しなければ、
ただ「食事をした」と書けばいいが、
映像や絵になる食事のシーンでは、
何を食べているかまで書かなければならない。

そうでないと、
撮影する場合なら、
小道具がそろえられず撮影は進まないし、
漫画にする場合でも、
漫画家さんはベンが止まってしまうだろう。

伝えたいことは、
登場人物の腹が満たされている
…ということであっても、
共同作業の設計図であるシナリオの場合、
具体的に書かないと伝わらない。

当たり前の話であるが…
この当たり前が身につくには、
結構な時間と労力、そして失敗が必要だ。

だから、人生日々更新。

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