でじたけの「人生日々更新」遠い夏の蹉跌

Episode No.5595(20160722)[信条]Creed

遠い夏の蹉跌
Memory 36 years ago

今から36年前…1980年7月22日。

高校生活最期の夏休みに入っていたが、
この日も制服を着て、学校にいた。

補習授業に集まっているのは
馴染みの顔ばかりだった。

6月には文化祭と体育祭を続けて行うという
前代未聞の生徒会企画が奇跡的に通り、
一週間お祭り騒ぎをやった。

続いて、野球部が県大会に挑んだ。
しかも相手校は
全国大会で何度も優勝経験のある名門校。

県立の我が校野球部が叶う相手でないことは、
ハナからわかってはいたが、
熱の冷めない俺たちは、
せめて格好だけはつけようと、
急ごしらえの応援団を組んだ。

文化祭では俺が作った映画に出演し、
体育祭では俺が作った
校長を模したジャンボマックスに入って
大活躍をしたあいつは、
応援団でも団長をかって出た。

結果は予想通り…
いや、大方の予想を覆す善戦。
しかも、その年、
相手の名門校は全国大会で優勝した。

さて、補習でも机を並べたあいつと俺は、
ボーッとした時間を過ごしていた。

何を勉強したのかわからないうちに授業が終わり、
2人で教室を出た。

いつもの裏門を出て、坂を下り、石段を降りると、
そこにはあいつが内緒で乗ってきた
小さなバイクが駐めてあった。

これから彼女を迎えに行って、
海に遊びに行く…という。

応援団の時に撮った
8mmフィルムの現像があがっていたので、
翌々日には、ウチに見に来たいとあいつは言った。

そして…
翌々日、会う約束をして、別れた。

あいつの元気な姿を見たのは…それが最期。

あいつも、彼女も、
海から天に昇ってしまった。

あいつはまだ誕生日前だったけれど、
俺はもう18歳になっていた。

あれから36年…ということは、
もうあいつの3倍も生きてしまったんだな。

あいつの分まで生きると誓った
…その誓いは守れているか?

だから、人生日々更新。

■30年目の夏…「白い蹉跌」のこと
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