旅の空
Air on travel.

スクランブル交差点の信号が
青に変わったとたん、
ウヨウヨと人が涌いて出て、
あっという間に地面が見えなくなる。

電車は２分に一度、やってきて、
トコロテンのように人を押し出したかと思うと、
バキュームカーのように人を吸い込んでゆく。

そんな大都会から、
ほんの２〜３時間離れただけで
…時間の流れは大きく変わる。

電車やバスは、せいぜい１時間に１本。
隙間だらけの時刻表にため息をつきながら
ベンチにどっかりと座り込む。
聞こえてくるのは小鳥のさえずりだけだ。

当初感じていたイライラは、やがて諦めに、
諦めは、やがて眠気に変わっていく。

ふと、人の気配に目を覚ます。
ようやく次の便が近づいた。

それでもまだ来ない。

同じ目的を持った人と目か会う。
どちらからともなく、天気の話をし始める。

そして、どこから、何をしに来たのか、
お互いの身の上話がはじまる…。

数えきれないほど人のいる場所では、
かえって孤独感が強かったものだが、
こうして自分以外、
たった一人しかいないというのに、
何かもう昔からの友達のように
親しみと心強さを感じたりする。

民主主義で孤独を埋めることはできないな。

だから…人生、日々更新。