昔、こんな笑い話があった。
航海中の船上で
甲板から海へ落とし物をした男が、
あわてて船員を呼んできて
「ここから物を落としたので拾ってくれ」
…と頼んだ。
甲板上には男がつけたマークが、
しっかりと書かれていた。
船はどんどん進んでいるんだから…
いくら甲板にしるしを付けたって
…まったく無意味、という話。
この話を仲間内でしたら、
どこが可笑しいのかわからない奴がいて、
またそいつを囲んで笑ったものだけど…
ただただ、あわただしく
追われているだけの自分が
必死にやっているのは…
実は甲板にしるしを付けてる程度のこと
…じゃないかと疑いたくもなる。
波しぶきを上げながら、
船はどんどん進んでいっちゃう。
師走だよ、師走。
気持ちばっかり焦っても仕方ないけど…
年の瀬にケジメがつけられないようでは
…来年も思いやられちゃう。
落とし物は
手が届くうちに拾っておかないと、ね。