入院日記 [改訂版]
※この内容は、2002年11月16日にメルマガで配信した内容を加筆修正し、その後の経過を追加したものです。

さて、今回は・・・タイトルにもあるように「入院」した話をちょっと書いてみたいと思います。
せっかく体験したことだから書かないと損だし、ね。

「入院?」・・・そうなんです。大腸にポリープが見つかって、それを切るために入院することになってしまいました。

実を言うと・・・この原稿の初稿は入院中に書いたもの。

院内は携帯電話は禁止だけど、パソコンは・・・というと、原則的にはやっぱり禁止。ただ、自覚症状がまったくない私は手術当日以外は喫煙もできたし、禁止区域を出てパソコンを打つこともできたというわけです。

■初体験! 大腸内視鏡検査

入院するなんて、いつ以来だろう?

小学校の時に暗闇でタンスから飛び降りて友達の頭にぶつかり、鼻の骨を折って以来だから・・・およそ30年ぶりくらい。

人間ドックは毎年受けてるけど、40歳になった今年のドックで腸の再検査を受けるよう言われました。

腸の再検査・・・って言われるのは、たいてい便に血が混ざってるのが発見された時。痔が原因の場合も多いようですが、腸の再検査と言えば、通常は肛門から内視鏡を入れる精密検査ということになってしまいます。

胃と同じようにレントゲンで腸を検査する方法もあるみたいですが、レントゲンには影しか映らないから、影を作るためにバリウムを肛門から入れるらしい。
でも、確実なのはやっぱりカラーモニタで患部がしっかりと映し出される内視鏡なのかな。

胃カメラは一度飲んだことがあって・・・口を開けたままゲップをしてはいけないという拷問のような思いがよぎり、はじめは内視鏡と聞いただけでウンザリ。

一昨年、内視鏡手術で大腸ポリープの切除を行った父に「それなら専門のこの病院がいい」と薦められ、横浜市内の大腸肛門病専門病院で再検査をすることにしました。

肛門から内視鏡を入れて検査をするわけですから、腸内に物が残っていてはできません。最初に行った時には申し込みと採血程度の検査、それから内視鏡検査当日の注意について話を聞くだけで終わり。
さて、予約をした検査当日。

内視鏡検査自体は10分程度のことなんだけど・・・準備から検査終了までは、ほぼ一日がかりです。朝飯はもちろん抜き。病院に着いたら、2リットルほどの洗浄液を飲まされます。味はスポーツドリンクをちょっとしょっぱくしたような感じ。30分から1時間くらいかけて飲むわけですが、チビチビやっていたのでは飲みきれないと判断した私はイッキ飲みしました。体の小さなおばあちゃんも同じ量を飲まなきゃならないんで、ちょっと可哀想。

やがて、お腹がグルグル言ってきて・・・あとはひたすらトイレに行って出す。6回くらい出すと、もう水しか出なくなります。その便器の中身を看護婦さんに確認してもらって、ようやく準備OK。しかし、いちいち他人の便を確認しなければならない仕事というのも大変だよなぁ。

検査直前にダメ押しを浣腸をされて、診察用のベッドに。点滴をつけて、麻酔を打たれると・・・次に気がついた時には、もう検査は終了してました。

しかし、産まれてこのかた腸の中身をカラにするなんてことはしたことがないので、洗浄液を飲むのはちょっと苦しいけど、台所の排水をパイプクリンみたいで、これだけでもちょっと健康になった気はします。

だけど・・・みごと、大腸ポリープが発見されてしまいました。

■早期発見が病気を治す鉄則

知っての通りポリープというのは、簡単に言えばオデキのようなもの。

痔も肛門の外にできたポリープの一種らしい。良性ならただのオデキだし、悪性となるとガンにもなりかねない。だから、見つかったからには大きくならないうちに切るのが妥当ということになります。

ポリープの原因というものは、はっきりしないらしく、私の例を見てもあきらかなように遺伝的な要因も大きいようです。とはいえ、親戚縁者にポリープの人がいないからといって油断は禁物。親の世代と私たちとでは食べてるものが全然違いますしね。

私の場合、見つかったポリープの大きさは1cm弱。切除後に安静を要するため、二泊三日の入院となりました。

知人の女性がやっぱり最近ポリープを切ったそうで、彼女の場合には5mm以下だっということで日帰りで手術できたとか。

また別な知人は、私にポリープが見つかったのを聞いてあわてて自分も検査をしたら、何と1cmを超えるポリープが見つかって、三泊四日の入院になってしまいました。

私のポリープが見つかった時、お医者さんに聞いた話ですが・・・私くらいのポリープだと、だいたい10年くらいかけて今の大きさになったようです。

日帰りで手術をしたという女性は、まだ20代後半。だから、私ももっと早く精密検査を受けていれば、こうして入院することはなかったでしょう。

まったく虫歯と同じですね。早いうちに処置すれば簡単に治せるけど、大きくなると何回も歯医者に通うことになっちゃうし、ヘタをすると抜かなきゃならないことになる。

ただ、腸のポリープの厄介なところは、虫歯のように見えないことです。私の場合にも自覚症状はまったくありませんから、人間ドックでひっかからなければ全然気がつきませんでした。

症状が出てからだと・・・これは厄介。

内視鏡手術でとれないくらいく大きさになれば切開手術になってしまいますから入院も二日や三日では済まないでしょう。

それに、内視鏡手術でできる程度なら、手術日が自分の都合で選べます。

見つかってから半年以内の都合のいい時にできるので、体にも仕事にも穴をあけずに済むし、入院までの間もとりたてて気をつけることはなく、まったく普段の生活通りです。

検査から2ヶ月後・・・どうにか仕事の空きを作って入院しました。

■二泊三日の入院生活

二泊三日の場合には入院初日に手術を行います。基本的に検査の時と要領は同じ。

病院に着いたらオシリの部分にスリットの入った検査着に着替えて、検尿、採血。そして例によって洗浄液を飲みます。2回目に洗浄液を飲んだ時には、前回の早飲み記録を塗り替えてやろうと密かに心に決め・・・10分以内で飲みほしました。コツは朝から水を一滴も口にしないことですね。

午後から手術。手術の時間も検査の時とさほど変わりません。

検査の時には、すっかり眠りこけてしまいましたが、手術の時には意識がありました。

モニタに映し出される自分の腹の中を見ながら過ごすのは何とも奇妙な感じです。

切除器具が空振りするのもシッカリわかるし。痛くもかゆくもないけれど、時々何か感じるから、やっぱり自分の腹の中が映っているのだと自覚します。

手術をしてみると検査で見つかった以外に、もう一つポリープが見つかって、結局2ついっぺんにとることになりました。だからといって手術の割増料金はないようですけどね。

手術後は点滴を打ちながら、ひたすら安静にするだけ。
食事は手術の日の朝から、翌日の昼までとれないので、この一日半の絶食が少々きつかった。

手術の翌日には栄養士から、術後の食事について説明がありました。

手術後、二週間は酒は御法度。コーヒーなどの刺激物や消化しにくい繊維質のものも食べられません。乳製品もダメなので牛乳も飲めません。うどんはOKだけど、蕎麦はNG。

もちろん過度の運動や旅行もできません。万が一、傷口から出血でもあると大変ですからね。

事務仕事なら退院後、すぐに仕事に復帰できますが、大工さんや運送屋さんなど力仕事の人は退院後も2〜3日は休む必要があります。まぁ何だかんだで、まったく元通りの生活に戻れるまでには一ヶ月近くかかるでしょう。

ちなみに私の病室の前はトイレで、よく足音が聞こえましたが・・・患者と看護婦の違いは足音だけでわかりますね。

看護婦はサッサと歩きますが、患者の場合には何となく足をひきずって歩いている感じです。
入院した病棟はポリープの患者ばかりで、自覚症状のない人たちばかりですから比較的みんな元気なんですけど、それでも入院すると何となく病人っぽくなってしまうんでしょうね。

最も病人のクセにパソコンをパチパチ打っているのもどうかとは思いますけど。

■やっぱり体が資本

手術から二週間・・・切り取ったポリープの検査結果を聞いてきました。
悪性だったらどうしよう、なんてちょっと不安になりながら、ね。

結果はおかげさまで、とくに心配はなし・・・ということでした。

ただし、完治の様子を検査する必要があるので半年後に、また内視鏡検査をします。
また、あの洗浄液を飲むのかと思うと考えただけでゲップが出そう。

ようやく大好きなコーヒーも解禁になって、これから食生活もじょじょに元へ戻していけます。

脂ヌキの質素な生活をしていたせいか、退院してから体重が2kg近く減りました。
同時期にポリープを切った知人は入院中の断食と粗食で体重が減ったというから、私もちょっと減量を期待していたんだけど・・・ちっとも減らなかったというのに。
別に普段も脂まみれの食生活をしてるというわけじゃないんだけど・・・たまにパワーをつけようと、うな丼に生卵ブッかけて食べたりするからなぁ。このまま質素でいた方が健康のためには、いいかもね。

見えないポリープを早期発見するために、病院では40代以降は2〜3年に一度の内視鏡検査を推奨しています。

通常の健康診断ではやってくれないので、まだ馴染みは少ないようですが、大腸肛門科に相談すれば対応してもらえると思います。
大腸肛門科なんて恥ずかしい・・・なんて言ってると、自分がやりたいこともできなくなってしまうかもしれませんからね。

20代までは病気といえば風邪くらい・・・だったでしょうけど、それまでの無理もたたって、だんだん病気らしい病気をするようになってくるもの。

自分のことは、なかなか自分ではわからないものですが、あまりにわからな過ぎるのは・・・つまり、身の程知らずということになってしまいます。
わかろうとしなかったり、できることをしないでいるのは「生きる」という仕事に対して怠惰といえるでしょう。

今はまだやりたいことが見つかっていない人でも、見つかった時にできなくなるのは悔しいでしょうし、守るものがないという人でも、きっと守らなければならないものができてきます。

ちなみに私の場合・・・

今年は家を増築するために多額のローンを組みましたが、審査の時ににちょうど結膜炎になって、正直にそのことを申込書に書いたら、それだけで検査結果が出るのに余分な時間がかかってしまいました。
もし、その時にポリープが見つかって手術することになっていたら・・・ひょっとするとローン審査は通らなかったかもしれません。

健康じゃないと金も借りられないのが現実です。

まだ住宅ローンなんか組む予定のない人は、早めに検査して、問題があったら早めに完治しておく。これから住宅ローンを組む予定がある人は、自覚症状が出ないうちにローン審査を済ませて、返済に必要な仕事に穴をあけずに済むようシッカリ健康診断しておくことを、ぜひお薦めします。

仕事のためだけでなく・・・恋人や女房、子供、親兄弟。
迷惑をかけたくない大切な人がいるなら、自分の健康は自分で守れないと、ね。

(20021201)