ハイ! 皆さん、またお会いしましたね。
また、淀川さんの口調を思い出して読んでくださいね。
今回も最近、私が観た映画を2本、ご紹介しましょう。
忙しい、忙しい言いながら、映画ばっかり観てる。でも本当は忙しい時こそ観てしまうのね。
ボーッとしていると、あっという間に半日くらい経ってしまうでしょ。
そういう余裕のない時には、むしろ映画でも観て頭を切り換えてしまった方が合理的じゃないかなぁ。
今回も2本の映画、ご紹介しましょ。
これまで、わりとメジャーな作品をご紹介してきましたが、今回はマイナーですよ。
初めてタイトルを聞く方も大勢いらっしゃるでしょう。
『アラン・スミシー・フィルム』と『恋におちたジョージ・ルーカス』です。
■ハリウッド・マニアのためのハリウッド映画
この2本は、偶然DVD屋さんで見つけたのね。
何の予備知識もなく、タイトルや出演者を見て、衝動買いしてしまいました。
DVDも安くなったものねぇ。
それでもレンタル・ビデオの方が、もっともっと安いけれど、返しに行くの面倒だしなぁ。DVDを買うのは、もうほとんど本を買うのと同じくらいの感覚。置き場所も本と同じようだし。
安いのは今、1,500円くらいからあるのね。デッキも1万円台になってきてる。
5人家族で映画館に行くより、ずっとずっと安上がりです。
そんなわけで、まず『アラン・スミシー・フィルム』を買ったいきさつをお話しましょ。
出演者が豪華だなぁ。あの「ロッキー」のシルベスター・スタローンと「天使にラブ・ソングを…」のウーピー・ゴールドバーグ。そして何とジャッキー・チェン。この3人が銃を構える写真が出てる。おまけに製作総指揮のアドリュー・G・ヴィアナは「ランボー」や「ダイハード3」を手がけた人。
この顔ぶれときたら、ド迫力のアクション巨編、エンターテイメント作品を誰もが想像するでしょ。「ロッキー」とジャッキー・チェンのファンである、うちの長男も、これを見ると楽しみに楽しみにしてたのね。
ところが・・・中身は全然違うのねぇ。
シルベスター・スタローンとウーピー・ゴールドバーグ、そしてジャッキー・チェン。この3人は、それぞれ本人の役で出てる。
つまり、この大スター3人の映画を撮るという架空の話が『アラン・スミシー・フィルム』。
本当かどうか知らないけれど、作品を作ったものの、その出来に満足がいかず、監督が自分の名前をクレジットされたくない時に入れるダミー用の監督名をアラン・スミシーと言うらしいのね。
大スター3人を使って初監督した男は、プロデューサーや出演者にいじめられて、いじめられて、ちっとも満足した作品は作れない。満足できないなら、アラン・スミシーという名前を使えばいいんだけれど・・・実は、この男、本名がアラン・スミシーなのね。
そこで、スミシー監督は公開直前にマスター・フィルムを持って逃げてしまう。
さぁ、巨額の予算で映画を作り、大宣伝まで打っている映画会社は躍起になってスミシー監督を追う。
いかにもドキュメンタリーのように見せるために、全編が関係者へのインタビューで綴られている、この映画。
インタビューされている中には、もちろんスタローンとウーピー・ゴールドバーグ、ジャッキー・チェンもいるんだけれど、3人が同時に登場するのは、1シーンしかないのね。あとは延々とインタビューのみ。
インタビューの内容は、ハリウッドへの皮肉たっぷり。おまけに劇中の架空の映画のために作られたマグカップやTシャツなど、さまざまな小道具も実にリアル。
・・・けれどもアクションを期待して観た人には耐えられないし、よほどの映画好きでないと最後まで観てられないかも知れんなぁ。
うちの息子は、30分ほど観て「いつになったらはじまるんだ」と叫び、45分後には寝てしまいましたね。
いったいどこまでがフィクションで、どこがアドリブなのかわからないようなところが面白い人には面白い。
葉巻を加えたスタローンが
「こだわってるから食えねぇんだ」
と画面に向かって言うのが印象的でしたね。
■わかっている人には面白いパロディの真髄
『アラン・スミシー・フィルム』がハリウッドに対するパロディ映画だとすると、『恋におちたジョージ・ルーカス』は言うまでもなく「スターウォーズ」のパロディ作品。タイトルは「恋におちたシェイクスピア」のパロディですね。
「スターウォーズ」のパロディはSF作品としていろいろりますけど、この『恋におちたジョージ・ルーカス』はタイトル通り、製作者であるジョージ・ルーカスが主人公だというところが新鮮ですねぇ。
物語の舞台は1967年。大学の映画学科に身を置くジョージ・ルーカス青年は、新しいシナリオの構想に悩んでます。
大学寮に住むのは、ダース・ベイダーのような喘息持ちの男やら、毛むくじゃらのチューバッカのような男。教授はジェダイ・マスターのヨーダで、恋をする相手はレイア姫そっくり・・・と登場人物がすべて「スターウォーズ」のそっくりさん。
もちろん、ルーカス役の役者さんも痩せていた頃のルーカスに、よく似てますね。
さぁ、こんな大作があったのか・・・と思ったら、何とこの映画、劇場公開はしていません。正確に言うとできないんですねぇ。
版権の問題・・・いや、違います。短すぎてできない。
何と、この映画・・・わずか9分しかないんですね。
本編は9分でメイキングが20分ついてる、お得だか何だかわからないDVDです。
この映画を製作したのは映画学科を卒業してプロとして活躍をはじめたばかりの若き製作者たち。無論、代表作はまだありません。今のところこの『恋におちたジョージ・ルーカス』が代表作。
でも一応プロですから、製作スタッフや撮影の方法、設備は商業映画とまっく変わりません。
当初、約300万円の予算で作ることになっていたこの作品は、最終的に1千万円くらいかかったとか。わずか9分の作品としては大変贅沢ですね。
作品公開後の後日談がいいですね。
たまたま友人がスピルバーグのスタッフをやっていて、このビデオをスピルバーグが観ることになったんです。
ウケまくったスビルパーグはビデオがむ終わるやいなや・・・と言いますからビデオが始まってから10分後にルーカスに電話をして、ルーカス本人もこの作品を観ることになりました。
そして・・・監督の元にルーカス本人から絶賛する手紙が届きます。
DVDの映像特典にちゃんとルーカスのサイン入りの手紙が映し出されています。
チャンスをつかむために、作品を作り上げようと思ったら何も2時間なくてもいいんですね。できることからはじめられる人が成功に一歩近づけるんじゃないでしょうか?
ちなみに私も・・・
もう、ずいぶんと昔の話になりますけど、8mmフィルムで自主映画を作っていたんですね。
当時、ある雑誌でコンテストがあって、応募したら・・・運良くベスト10まで残りました。
ベスト10に残った作品は、アメリカでルーカスとスピルバーグに観てもらえることになっていて、観てもらったはずですが・・・手紙はきませんでしたね。
日本の自主映画のレベルの低さを公表しただけで・・・翌年からその企画はなくなってしまいました。
今日のお話は、このへんにしましょうね。
それでは、またお逢いしましょう。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。
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