20151122

第798回「格言親父」

10月に22回目の誕生日を迎えた長男に
『ゲーテ格言集』をプレゼントした。

『ゲーテ格言集』といえば…
最初に買ったのは中学３年の時。

初めての受験を前に焦って本屋に駆け込むも、
参考書のコーナーを素通りして、
普段は読みもしない文庫本コーナーへ。

そこで、ふと手にとったのが『ゲーテ格言集』。

初めて開いたページには…
「試練は年齢と共に高まる」
…と書かれていた。

まさに今の自分のことだと思った。

小説が長そうだけど、
格言なら短くて読みやすい。
…そんな動機で買って帰った。

以来、ことある事にページを開き。
格言をひとつ読んでは、
それについてひらすら考える。

高校時代には和気藹々の同級生カップルに…
「愛人の欠点を美徳と思わないほどの者は
　愛しているとはいえない」
…という格言を紹介し、
真面目に考え込んだカップルは挙げ句、別れた。

高校生に、そりゃ酷な話だよな。

実際、ゲーテが何をした人か
よくわからないまま読み続け…
今もかなりの数の格言が記憶に残っている。

そして、
偉ぶる政治家や財界人を見ては…
「砂漠のインド人は
　魚を食わないことを誓う」
…という格言を思い出し、

突如時の人になったものの、
アッという間に
世間から消えていった人たちを見ては…
「風に飛ばされる木の葉は、
　しばしば鳥のように見える」
…という格言を連想し、

連合軍とテロリストとの戦いを見ては…
「強い光は同時に濃い影を生み出す」
…という格言に唸る。

200年前のゲーテが言っている意味を
いまだ人類は理解、実践できていない。

寝がけに
大学に泊まり込んでいた長男から
LINEが入った。

「ゲーテ格言集よいね
　人生って旅らしいよ
　地球を期限付きで巡礼してるらしい」

…眠けまなこをこすって返信した。

「人生は居場所探しの旅。
　探して探して探した挙句、
　それは自分で作るしかない
　ということに気づかされる」

…これは親父の実体験。

やっぱり…人生、日々更新。

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