でじたけ流 教育論「昇天 」
 
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20151011

でじたけ流 教育論792回「昇天」

でじたけ流教育論 digitake.com


今日で四十九日。

我が家の愛猫が昇天したのは、
今年8月23日のことだった。

18歳の老猫は、
熱くなったベランダで眠るように死んでいた。

子供の頃からこれまで、
あらゆるペットを飼ってきたが、
こいつほど“頭のいい”奴はいなかった。

その目つきは実に思慮深く、
ジッと人を見ては意のままに操るほど。

4年ほど前、
隣の実家で飼っていた
ゴールデンレトリバーが病死して、
家族の心にすっぽり空いてしまった穴へ、
すーっと入って来たのが、この猫だった。

それ以前から近所を闊歩し、
時折、ウチでも餌をせしめていたが、
まず家の中まで入ってくることはなかった。

ゴールデンがいなくなってしまったのを
知ってか知らずか、
自然とウチに入って来るようになり、
居候はやがて人間たちよりも
ウチに居る時間が長くなった。

子供たちが2度目のダブル受験を迎え、
家族中ピリピリしていたのを和ませてくれた。

リビングのテーブルで酒を呑んでいると、
チョコンと向かいの席に座って、
ジッとこちらを見ていた。

元気のいい時にはポテトチップをよく食った。

不思議なもので、
その猫は家族の誰ともよく顔が似ていた。

自分もよく似ていると言われた。

親子の顔が似るのは当たり前だが、
長年一緒にいると夫婦も顔つきが似てくるという。

この猫は、わずか4年の間に、
すっかりウチの家族と同じ顔をしていたわけだ。

そんな人並みの奴だったから、
人並みに葬儀場に行き、
人並みの骨壺に入れてやった。

さて、この骨壺はこの後どうすべきなのか…。

もはや急ぐべきことは何もないので、
当分はこれまで通り
リビングにいさせることにしよう。

それでも…人生、日々更新。

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