20150607

第774回「理不尽全開」

それは、激しかった雨がピタリと止んで、
燃えるような夕焼けが出た日のこと。

ミノムシみたいに毛布にくるまる次男に
今日は大雨で自転車じゃあ高校に行けないから、
早めに起きてバスで行け…と声をかけた。

次いで…
Suicaのチャージは十分か？
結局出るのがギリギリになって、
無理に雨の中を自転車で走り出さないよう…
さんざん声をかけ、
ハッキリとした返事を聞いて朝風呂につかる。

さて、出てくるともう次男は出かけた後、
よもやと思って自転車置き場を覗いてみると
…自転車はなかった。

雨は、まだまだ弱まっている様子はない。

リビングに降りてきた長男が、その様子を見て、
自分が自転車で高校に通っていた頃を思い出しニヤける。

さあ、親父のアイドリングは上がった。

まずはLINE…。

今朝はバスで行くと約束したよな？
出る直前になって、
理由をついて慌てて自転車で出るなと言ったら、
「うん」と返事をしたよな？

それでもなお裏切ったんだから、覚悟しとけよ！

…早速、次男から返信。

ごめんなさい。

…その程度で許すくらいなら文句など言わない。

明日は晴れててもバスで行け！

…ここで長男がチャチャを入れてきた。

それは謎。

…すかさず叱咤。

ペナルティとは、そういうものだ。

雨だから自転車で行かない
…という約束を守らなかったんだから、
雨でない時には自転車で行く
…という普通はできることができなくなる。

約束を平気で破るような奴には
危なっかしくて道具は使わせられないよ。
自転車も、スマホも。

…ここのところ、
夜10時までと決められたスマホも
何だかんだ言ってやり続けていることが、しばしば。

そして…その日は見事な夕焼け。

帰りは問題なく自転車で帰って来られるだろう。
翌日の天気予報は晴れ。

それでも学校へはバスで行くことになった。
車があっても違反をすれば免許停止になるのは当然だ。

反省は聞くものではなく、体感するもの。

しかし…数日後、
今度はスマホを取り上げられるハメになった。

まったく若い時ってのは…。
もちろん自分にも覚えはある。

やりたいことを拒否されて、
そこから作っていくのが自分の人生。

世間の理不尽に比べたら、
家庭の守られた理不尽なんて、甘い、甘い。

もともと自分のために
何も用意なんかされていない…ということを
理不尽だと言われようが何だろうが、
親がまず叩き込まない限り、
大人への道は開けないものだと…信じる。

やっぱり…人生、日々更新。

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