第60回 大きな夏休み |
仕事は、あいかわらずバタバタ状態が続いていて
とても夏休み気分を味わっている場合ではないんだけれど・・・ うちに帰ると、夏休みなんだな・・・と思う。 とくに、朝。 こっちは寝不足だってのに・・・早朝から兄妹ゲンカの声で目が覚めちゃう。 普段なら、私より子供たちの方が早く学校や幼稚園に行くから・・・ 少し我慢してれば、もうちょっと寝てられるんだけど 今はだんだん声が大きくなって来て・・・とどまるところを知らない。 最後にはカミさんが叫ぶことになるし・・・とても寝てられる状態じゃない。 普通の勤め人なら・・・ 夏休みだからといって、こんな場面に出くわすことも、まず少ないと思う。 私の場合は・・・ 深夜、家に戻って・・・メシを食って・・・ "散らかって"寝てる子供たちをよけて・・・寝て・・・ 毎朝、叫び声を聞いて起きるという毎日。 まだ、一番下が小さいから遠出する計画もないけれど・・・ もうちょっとたったら、仕事でも夏休みをとれるやり方を考えないと、な。 私が小学生の頃は・・・毎年、お盆にはオヤジの実家へ行った。 オヤジの兄弟たちも、みんな集まって・・・ 田舎の座敷を二間ぶちぬいて、長いお膳を真ん中に置いて 上座におじいちゃんが座り、長男、次男・・・ 最後は、まだ赤ん坊だったうちの弟の席だ。 一族で乾杯をして、食べたり、飲んだり、喋ったり・・・ 頃合いを見はからって、おじいちゃんがスクッと立ち上がって 奥の座敷へ行ったかと思うと、やがてクッキーの缶を抱えて戻ってくる。 おじいちゃんは、取り出したクッキーを長男から順に・・・ 最後はうちの弟にまで・・・ニコニコしながら平等に配る。 おじいちゃんにかかっては・・・ 50を過ぎた子供も、2つ3つの孫も同じ扱いになっちゃう。 そういえば、いつだったか・・・ 小さな会社を経営している、うちのオヤジが 盆の集まりの時に、会社で新しく建てることになった倉庫の図面を持って行った。 オヤジがおじいちゃんおばあちゃんに倉庫の図面を説明する姿は・・・ まるで100点をとった子供が親に胸をはってみせているようだった。 オヤジの兄弟たちは、みんな公務員でオヤジひとりが民間だったから・・・ 兄弟たちは一様に「すごいなあ」と驚くばかり。 ところが・・・ おじいちゃん、おばあちゃんは「よくやった」とホメつつも・・・ 「だいぶ借金したんじゃないか」とか 「仕事がうまくいかなくなったらどうする?」とか・・・心配ばかり。 やっぱり・・・ 社長になろうが何だろうが・・・ 子供は、いつまでたっても子供なんだね。 そういう一族の集いも・・・ おじいちゃん、おばあちゃんが亡くなってからは、すっかりやらなくなった。 正月とお盆の時くらいしか、おじいちゃんと顔を合わせなかった私は・・・ おじいちゃんとの思い出が非常に少ない。 でも・・・ 毎年、おじいちゃんに会うと、その少ない思い出の中から、 かつて田舎の庭で一緒に白蟻退治をした時の話を「あれは楽しかった」と 繰り返し言ってくれたのを思い出す。 そういえば今日・・・8月5日は、おじいちゃんの命日だ。 今、実家はうちの隣だし・・・ カミさんの実家も車で10分の距離だから・・・ うちの子供たちにとって田舎という感覚は、まったくないだろう。 この子たちが大人になって思い出せる・・・ 夏休みの思い出をうまく作ってやれるといいんだけどな。 |
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