20100905
でじたけ流 教育論第526回

妥協を教えない-でじたけ digitake.com


知人の息子さんが学校で大怪我をした。
中学校の球技大会での話。

フットサルでキーパーをしていた息子さんは、
相手チームのラフプレイによって
思い切り手を蹴飛ばされ、
骨が飛び出るほどの骨折をした。

手術を受けて、現在はリハビリ中。
全治6ヶ月くらいの大怪我だ。

例によって解せないのは学校側の対応。

謝罪に訪れたのは担任の教師だけで、
肝心の加害者は一向に姿を見せない。

それもどうやら
学校側の指導によって
故意にそうしていたフシがあるという。

業を煮やした知人は学校側に抗議した。
別に恨み言を言うつもりもなかったけれど、
当然のケジメとして
当人同士の対話は必要だと考えたのだ。
…当然だね。

すると夏休みの直前になって、
息子さんは職員室に呼び出されたという。

そこには問題の相手チームの連中が勢揃いしていて、
一応、彼に謝罪をした。

確かにプレイ中のことではあるから
連帯責任ということもあるだろう。

だが、実際には…
学校側としては加害者を特定しまうことにより、
損害賠償問題に発展することを避けたい腹がうかがえる。

実は知人は保険の専門家だ。

今回の事故についても
社会保険事務所や病院と
治療費の負担について話し合いを進めている。

社会保険事務所としては
相手がはっきりしているのであれば、
相手が治療費を負担するのか当然で
100%健康保険でまかなうことはできないと言っているらしい。

この見解が正しいがどうかは別にして
交通事故と同じ対応である。

しかし、学校側としては加害者の特定を避けている。
…そのせめぎ合いは現在も続いている。

先週、「世界まる見えテレビ特捜部」で
韓国の番組が“傍観者意識”の特集をしているのを見た。

荷物を抱えて歩く人が、わざと荷物を道に落とす。

それを目撃した人は…
1人であれば、ほぼ確実に拾うのを手伝うが、
2人、3人と連れ添って歩いていると手伝う確立は減り、
6人の前で荷物を落としても100%手伝わなくなる。
…そんな実験結果だった。

つまり、1人しか見ていなければ、
自分しかいない、という心理から行動に移るけれど、
大勢の中にいると
誰かがやってくれる、という気持ちになってしまう。

加害者を特定させないように仕向ける学校側の態度は、
結局この“傍観者意識”を増長させて、
加害者の責任感を薄れさせているのではないか?

まず加害者を特定し、
その上で連帯責任を問うならまだ理解もできる。
しかし、それをしないのは結局、教育的な配慮ではなく、
やっぱり問題を人混みに隠して薄めようという
保身的な態度に見えてならない。

自分しかいない、という心理があれば行動に移る
…だから、親は強いんだよな。

学校側の解せない態度に屈せず、
息子の前で抗議する知人は立派だと思う。

親が子供の前で
簡単に妥協する姿を見せないのが最大の教育だろう。

…ガンバレ!
そして、息子さんの全快を祈る。


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