でじたけ流 教育論-自影
 

でじたけ流“教育論”第1284回
自影


かつて
このページを書籍化した時に…
子育ては親育て
…というキャッチコピーを書いた

親は子と接することによって
ようやく親になることができる

自分に子供が生まれて
子供がまだ幼い頃には
親になることで
自分が少しずつ
大人になっていくのを
感じたものだが…

子どもたちが
社会に出るように歳になって
親が還暦を過ぎてくると
むしろ
子供たちが大人に近づく分
親は子供の頃に
還っていくようにも思える
…還の暦だし

最近
幼馴染みと話していても
よく出る話題だが
個人差はあるにせよ

結局
子供の頃…
せいぜい16、7までに
形成された
性格とか価値観というのは
生涯変わらないのではないか

少しは勉強して知識をつけて
社会に出てもまれ
物事の段取りを叩き込まれたりして

いよいよ還暦を過ぎると
大人の技術をもって
子供の頃の夢を
実現するところへやってきたはず
…なのだが

仕事の上で
言われたことだけやるのに
慣れ過ぎていると
大人の技術は
子供の頃の夢を
崩す方向にしか働かなくなる

誰もがスパイグッズのような
コンピュータを身につけて歩く現代

使える道具は山ほどあるはずなのに

道具の進化が
人間の退化を促してしまうのは
やりたいことより
できることの方が多すぎて
何をしていいのか
わからなくなっている証拠だろう

やりたいことはあるけど
それを実現するための
道具も知識もない頃の方が
夢を膨らませることはできた
…と思う

足りないくらいの方が
工夫する能力は育つ

しかるに
それなりの歳になると
体力が減退するので
新しいものを会得しようという
気力もまた減退しがち

ぜいぜい
子供の頃にはできないかった
菓子を大人買いして頬張り
満足そうに寝そべるのが関の山
…ということになりかねない

夢…という言葉は
かなり漠然としているが
誰にとっても
夢の実現は…
新しい自分と出会うこと
…に違いない

文章や絵もそうだが
何かを自分で形づくってみると
そこに投影されている
まだ知らない自分の影が見える

モノづくりの上で必要になる
新しい道具の活用も
能動態でなければできない

人に促されないと
自分の話したいことが伝えられず
やりたいことを行動に移せない
…という受動態でいるのは
詰まるところ…人に頼ってるだけ

人と直接話すことは大切だが
誰かがいないと進めないのでは
自分の夢をカタチすることはできない

やっぱり…人生、日々更新

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