父の日…には
二男がお得意の
角煮を作って
ツマミに出してくれた
大学院生の二男は
ほとんど呑まないが
料理には興味があって
よく台所に立っている
そういえば自分も
独身の頃…一時期
パンづくりに
凝ったことがあった
しかしそれは…
ほとんど
幼い頃熱中した
粘土細工を
再びしていたようなもので
…味は二の次だった
二男の料理は
まるで
理科の実験のようだが
そもそも
料理も実験も
似たようなものだろう
今は亡き
カミさんの父親は
理科系の人で
引退して
暇を持て余した晩年は
料理にも凝っていた
それは
まったく理科の実験で
砂糖小さじ2分の1
…と書かれていれば
その通りにできるが…
塩少々
…なんて書いてあると
具体性がないと言って
怒った…という
二男の料理も
実験に違いないが
若い頃の実験の目的は
成功例をなぞって
失敗を経験するためのもの
…である
著名な料理人は
そのレシピを本に書いたり
テレビで作り方を
説明したりする
そんな
企業秘密を
詳しく紹介してしまったら
誰も自分の店に
食べに来なくなる
…と
ひた隠しにするのは
…二流…三流のやること
やり方さえわかれば
誰でもできることは
…つまり
簡単なことでしかない
一流…は
できるものならやってみな
…という余裕が感じられる
1,000万円の
車を買ったからといって
運転が上手いとは限らないし
100万円の
ギターを持っているからといって
人に聴かせられるほどの
演奏ができるとは限らない
むろん
ワープロを持っているから
スラスラと文章が書ける
…わけでもないだろう
ノウハウは
失敗の繰り返しによって
培われるもの
その成果で
お得意となった二男の角煮は
なかなかのものだった
そしてまた…酒が進む
酒での
失敗の繰り返しも
いいかげん
やり過ぎるほどやってきた
…というのに
やっぱり…人生、日々更新