日本初のテレビアニメ「鉄腕アトム」を
かろうじて観た記憶のある世代の人たちは
あの…主題曲を聴くだけで
何か胸が熱くなるのではないか
少なくとも自分は
あの曲の間奏を聴くと
拳を握り空を駆ける
アトムの姿が浮かんでグッと来てしまう
ところが…
アトムの主題曲のメイキングを見ると
候補の曲はほかにもあって…
今は当たり前となっているあの曲は
テレビ関係者から…
子供には難し過ぎる
…という理由で
却下されかかっていたという
でも原作者の手塚治虫は…
この曲を採用しないなら降りる
…と言い放って認めさせたらしい
ピアノも弾いたという
音楽通である手塚治虫にとって
あの曲が一番
しっくりきたのだろう
…子供になんて媚びは売らない
そのおかげで我々世代は
子供に甘んずることなく
背伸びが出来たようにも思う
同じ手塚作品では
「ワンダースリー」もそうだ
今観ても
とても子供向けとは思えない
スウィングジャズがテーマ曲
しかも歌詞の一節は…
♪ふざける時でも真面目にやろうよ
…これは自分の
人生の指針にもなっている
あの頃…
テレビはまだ創世記で
映画業界を追われたならず者たちが
自分たちを追いやった
映画業界に
復讐…といっては
大げさかもしれないが
目にもの見せてやらん
…という気概をもって
作品に挑んでいた
「ルパン三世」もそのひとつだろう
安全…安心…安定…
それが…成長の大敵
今はすっかり
大人が子供の真似ばかりしているが
子供にとっては
それは目標をなくしてしまうこと
平和だが…不幸だと思う
心に童と書いて…憧れ
何だかよくわからないけど
カッコいい…
そんな憧れなくして成長はない
還暦を過ぎた今でも…時折
バーで酒をくゆらせていると
ああ…自分は大人になった
大人になってよかったな
…などと…しみじみ思う
やっぱり…人生、日々更新