でじたけ流 教育論「父と娘の言葉さがし」
 

でじたけ流“教育論”第1017回
「父と娘の言葉さがし」


昨年暮れ、縁あって
作詞の真似ごとをして依頼、
流行歌の歌詞が気になって仕方ない。

さすがに長い間、
歌い込まれている歌の歌詞は、
今さらながらスゴイ。

♪北へ帰る人の群れは 誰も無口で
 海鳴りだけをきいてる

ご存じ「津軽海峡冬景色」の一節。

寒い…なんて、ひと言も書いてないのに
寒さが伝わってくる。

詩はこうでなくてはいけない。
読ませるための文章は、ただの説明。
詩というからには感じさせないと…。

嬉しい、辛い、悲しい…と
書くのは簡単だが、
簡単に書いたものは、
簡単に流れてしまうだろう。

言うはやさしいが、
わかったてること…と、
できること…は、まったく違う。

ところで、こんな風に
父親が柄にもなく
作詞に四苦八苦しているわきで、
保育士になった娘も、また、
曲作りに四苦八苦していた。

娘が働かせてもらっている幼稚園では、
卒園生全員に、
個別の歌をプレゼントするのが
恒例行事になっているという。

娘が担当するのは、確か3人。
3曲のオリジナル曲を作らなければならない。

かなりの労力だと思うが、
先輩の保育士たちは、みな慣れているらしい。

かつては、この幼稚園で作られた歌が
メジャーにまでなったというから驚きだ。

そのメジャーデビューした先輩が
指導に訪れて、曲を仕上げ、
ちゃんと伴奏をスタジオ録音して、
卒園式で歌うのだと言う。

詩を書くには経験が必要だ。
詩を書く経験というわけではなく、
詩にしたい思いを得る経験が。

そういう意味では、
子供と笑ったり泣いたりした経験は、
確実に歌にできるはずだ。

身近な誰が聞いても…
あの子のことだ
…とわかる歌。

そして、贈られた歌は、
その子にとって、自分の歴史になる。

素晴らしい企画だと思うが…
素晴らしいことを成し遂げるためには、
その前に神経をすり減らす思いを
たくさんしなければならない。

辛い経験
…と書くのは簡単だが、
あえて、
神経をすり減らす思い
…と書いてみたけど、
まだまだ、他に刺さる言葉がきっとある。

やっぱり…人生、日々更新。

Copyright 1998-2020 digitake.com. All Rights Reserved.


人生日々更新 -Main-